多い少ないの違いはあれど、いずれの企業でも「人材育成」は行っているのではないでしょうか。
社員を育てるために、例えば社外研修だったりOJT、近年ではWEBによる研修なども行われています。
けれども、それほど大きな効果が出ず、「なかなか社員が育たない」とお困りの企業も多いかと思います。
そこで、この記事では、「人材育成とは何か」について改めて深くお伝えすることでで、人材育成をうまくいかせるために意識することを認識していただければと思います。
<目 次>
1.人材育成が上手くいかない
1-1.人材育成とは?
1-2.人材育成がうまくいかない理由
2.人材育成の原理原則
2-1.社員が成長する3つのステージ
2-2.人材育成の2つの手法
3.人材育成は組織力強化のためには必須の組織課題
1.人材育成が上手くいかない
人材育成とは、端的に申し上げると『社内外のあらゆる資源を活用して社員を育てること』です。
そして、人材育成の結果として、各社員のできることを底上げして、利益を拡大することが主な目的です。
年功序列、終身雇用の社会構造が崩れ、さらには少子高齢化により、特に中小企業では労働力の確保が一段と厳しくなっています。
このような状況下では、企業にとって社内の人材のスキルをいかに高められるかが、競争優位性を保つ大きな一因となってきます。
さらに、効果的な人材育成・人材活用ができない企業は、優秀な人材の流出を止められず、定着率や採用力も下がっていきます。
こうしたことから、人材育成は経営戦略のうちでも重要なパーツであり、組織的に取り組むことが求められると考えられます。
ここでは、人材育成がうまくいかないその理由をいくつか挙げていきます。
■時間が掛かる
近年は変化のスピードが早いです。特に、技術的な進化は早い。それだけに、「できるだけ早く育てたい」というのが、企業、経営者の思いではないでしょうか。
しかし、子どもが言葉を覚え、知識や道徳観を身に付けるには相応の時間が必要なのと同じように、社会人といえども育成の効果を感じられるまでに時間が掛かります。
あの社員は成長が早いと感じる特定の社員もいると思いますが、それは人材育成の結果ではなく、そもそも能力の高い社員を採用した場合が多いです。
人材育成で重要なのは、組織的にレベルを底上げしていくことです。
それを成し遂げるには長期的な視点が必要だと考えております。
■人は皆違う
ビジネスシーンでは、ある一定の能力が求められます。例えば、近年なら少なくとも、パソコンを使う能力は一律に持っていてほしいところです。
一方、人は性格も、得意不得意もそれぞれ違います。
それにも関わらず、誰にでも一律で同じ教え方、同じ対応をしていては、効果的な人材育成とはなりません。
まずは「人は皆違うのだ」ということを前提にして、臨機応変な対応をしていくことが大切です。
■会社によって異なる
人材育成には、「これをすれば必ず上手くいく」という正解がありません。
ある組織ではうまく行った事例も、ある組織ではうまく行かないことがよく起こります。なぜなら、人や文化が違うからです。
自社の社員構成はどうなのか、年齢や性別、経験年数、また教える業務の内容など、
様々な角度で加味しながら、「自社にとってベストな方法は何か」を常々考え、いろんな手段を継続的に試していく必要があります。
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2.人材育成の原理原則
人の成長には、大きく分けると3つのステージがあります。
■わかる
知識を身に付けた状態です。テキストを読んだり、研修を受けたりすることによって、基本的な考え方・理論を理解している状態。
■できる
実践により行動できるようになった状態です。水泳のテキストをどれだけ読んでも泳ぐことはできませんが、「実際にやってみる」ことで泳げるようになります。
OJTなどで実務を通じて身に付けることができます。
■うごける
自分の意思で判断し、自発的、主体的にうごけるようになった状態です。成功、失敗を含めて、さまざまな実務経験を積むことによって、自分の判断で行動できるようになります。
特に、このステージでは、技術的なこと以上に、ビジネスパーソンとして、先輩としてのあり方や価値観、大切なことに気付いたり、学んだりする時期でもあります。
人材育成においては、社員がある業務ついて、3つのステージのどこにいるのかを把握することが最重要です。
それによって、何をどのように教えるかが全くことなってくるからです。
場合によっては、「わかっていない」けれど「できる」ということもあります。
この場合は、改めて「わかる」をきちんと教えることで、「できる」の質や効率性をあげることもできます。
人材育成には、大きく次の2つの手法があります。
(1)OJT(On the Job Training/現場における教育、指導)
(2)Off-JT(Off the Job Training/業務外の教育)
(1)OJT(On the Job Training/現場における教育、指導)
「うちの会社はOJTをやってますから」「私たちはOJTメインの実践型です」という言葉を聞きます。
それは真のOJTでしょうか。
単なる上司から部下への指示や、場当たり的な指導・注意になっていませんか。
OJTの本来の姿は、現場・業務の中で、何を・どのような方法で・どれぐらいの期間で習得させ育てるのか、という計画に基づいた指導です。
また、それを実行する中で、常に育成状況を確認し再計画、いわゆるPDCAサイクルを回さねばいけません。そうして初めて、業務を通じた気付きや理解促進に至り、実践的な人材育成と言えます。
OJTの指導担当者は、計画的に取り組んでこそ、始めて「OJTを行っている」と言えるのです。
また、会社側は、OJT指導担当者だけに任せるのではなく、組織全体でOJTに取り組むような土台をつくる必要があります。
「仕事を教えてくださいね。頼みますね」では済まされません。
OJTは、担当者と指導される側の1対1という形になりがちですが、組織全体で関り合いながら成長していくことが重要です。
Point! OJTのメリット/デメリット メリット デメリット |
(2)Off-JT(Off the Job Training/業務外の教育)
業務から切り離し、主に外部指導者による教育が、Off-JTです。
「Off-JTで外部研修に参加させたから、この能力はついた」「できるはずだ」と思われていませんか。
Off-JTだけでは、決して人材育成は完結しません。
社員が成長する3つのステージでも申し上げたように、基本的には「わかる」状態から繰り返し演習・実践、PDCAを回して始めて習慣化となり、「できる」に至ります。
あくまで「業務という日常から離れ、職場では感じられないような気付きや注意喚起、専門的な知識は手法を学ぶ場」がOff-JTとなります。
Off-JTでの気付きや学びを忘れずに、OJTなどで実践を継続する必要があり、そのためには計画的な人材育成が重要となります。
Point! Off-JTのメリット/デメリット メリット デメリット |
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3.人材育成は組織力強化のためには必須の組織課題
企業にとって人材育成は重要な課題です。
人材育成では、理想と現実とで大きな乖離があるという企業も少なくはありません。
しかし、その原因の多くは上手な育成または育成環境が整っていないというのが現状です。
目の前の忙しさにとらわれ、部下の教育を後回ししている職場は多いのです。
結果、そのまま放置して、若手が育たないと、頭を悩ませる企業も多いのではないでしょうか。
放っていては、社員は成長しません。
仮に成長したとしても自社でなくてもそもそも成長できるような人であり、
そのような優秀な人材はいつまでも自社にいるとは限りません。
組織的に社員を育てるためには、育成環境をしっかりと準備することが重要です。
それでは、まず、何から始めるか?
前章でも申し上げたように、人材育成の方法は、そこに集う人や組織の文化によってさまざまです。
そこで、まず、「理想はどのような状態で」「現状はどうなっているのか」「必要なことはなにか」を把握することから始めてはいかがでしょうか。
経営者や管理職だけでなく、現場の社員にも意見を聞きながら、
今、社員が抱えている課題認識や、思っていること、感じていることなど、様々な視点で現状を把握していくことで、最終的な効果は大きくなると考えます。
人材育成は、労力がかかることではありますが、その分だけ効果も大きくなります。
逆に、労力を惜しんで手を抜けば、それが後で必ず跳ね返ってくるのも人材育成です。
組織力強化のために、人材育成は必須の課題です。
この記事をきっかけに、ぜひ人材育成について改めて考えてみてはいかがでしょうか。
今回は【人材育成】について本稿を書きました。
人材育成にご興味のある方は、以下よりお問い合わせください