■人事制度とは何か
もうご存じの方も多いかと思いますが、
改めて「人事制度とは何か」を確認したいと思います。
人事制度とは、一言でいうと、
「4つの経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)のヒトの部分の制度・仕組み」です。
「モノ・カネ・情報」を扱うのは「ヒト」であり、その「ヒト」を最大限有効活用するための仕組みが人事制度ともいえます。
そういう意味では、人事制度は経営の根幹ともいえます。
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■人事制度の構成
それでは、その人事制度をより具体的にみてみましょう。
人事制度は複数のパーツで成り立っているといえます。
そのうち、最も重要ともいえる三つのパーツがあります。
それが、人事制度の三本柱とも呼ばれている、
・等級制度
・評価制度
・処遇制度<賃金・育成>
です。
また、その他人事制度としては次のようなパーツがあります。
・採用
・配置
・労務管理
・福利厚生
これらのパーツはそれぞれが独立しているのではなく、
各パーツが相互に関係しあっています。
そのため、人事制度を整備するうえで大切なのはそれぞれのパーツが噛み合うように設計することともいえます。
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■人事制度はなぜいるのか
まず、最初にお伝えしておきたいことがあります。
それは、「明確な人事制度は絶対に必要なわけではない」ということです。
もちろん労務管理のようにすべての企業に必要なものもありますが、
それは自社独自に制度化するものではなく、法律に沿って法律を遵守するための業務になります。
それでは、人事制度を自社独自に制度化する場合、そこにどのような目的があるのでしょうか。
人事制度の目的は主に次の3つだと考えます。
・経営者から従業員へのメッセージの明文化
・水準の統一
・従業員の能力と意欲を向上する仕組みづくり
■経営者から従業員へのメッセージの明文化
お客さまから「従業員がひとりでもいれば必ず人事制度はいるのか?」というご質問を受けることがあります。
この答えとして「なくても大丈夫」と弊社ではご回答しております。
その理由は、「経営者の目の届く範囲の従業員規模であれば、人事制度としてルール化しなくとも、経営者と従業員が直接コミュニケーションをとることができるから」です。
人事制度には経営者の思いを明文化したメッセージの機能があります。
例えば、等級制度であれば「個々の従業員に期待する役割や業務の水準」
評価制度であれば「各等級で期待する水準に到達するための、具体的な成果・能力・態度などの期待する水準」というメッセージです。
これは逆に言えば、従業員規模が大きくなると、経営者が直接コミュニケーションをとることが困難になることで必要になったともいえます。
また、従業員の能力や性質が多様化し、従業員ごとに期待することやその水準が変わることで、それぞれに合わせて別々に伝えることも難しくなります。
そのため、人事制度は、労力を最小限に、多様性のある従業員を同じ方向に向かわせるための明確なメッセージとして必要になるといえます。
■水準の統一
従業員規模が大きくなると個々の能力や成果、賃金のバラツキも大きくなります。
また、いままで経営者がひとりで決めていた「評価~賃金決定」の業務は、複数の中間管理職へ権限移譲され、その評価基準にもバラツキがでるようになります。
こうしたバラツキは従業員のモチベーションの低下や不満につながるリスクがあります。
このようなリスクを低減するため、バラツキを是正し、水準を統一する必要がでてきます。
「評価制度」は、どのレベルであれば、どの評価になるのか
「賃金制度」は、どの評価であれば、どの賃金になるのか
これらの水準を予め決めておくことで、評価や賃金のバラツキの是正につながります。
■従業員の能力と意欲を向上する仕組みづくり
人事制度の仕組みを上手く回すことができれば、意欲的に成長する従業員を育てることができます。
人事制度をPDCAで考えると、次のようにいえます。
Plan =「等級制度」
Do = 日常の業務プロセスや結果など
Check =「評価制度」
Act =「処遇制度」
つまり、
「等級制度」は、「従業員に期待する役割などの水準」
「評価制度」は、「期待と結果のギャップの測定の仕組み」
「処遇制度」は、「次期の期待へ繋げるための、測定の結果の反映の仕組み」といえます。
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このサイクルをしっかり回すことで、「ヒト」という経営資源を最大限有効活用することができると考えます。
■人事制度は慎重に…
人事制度は、組織を組織とするために重要なツールです。
しかし、実は一歩間違えれば従業員のモチベーションを低下させてしまうリスクもあります。
その原因の多くは、自社の実態にそぐわない人事制度を導入してしまったことで起きます。
人事制度は、絶対的な正解がなく、非常に奥深いものです。
他社で成功した人事制度が、自社では全く使い物にならないということもあります。
また、人事制度が悪く機能している場合、ボディーブローのようにじわじわと問題が広がってくることが多いです。
結果、人事制度が問題の原因と気づくことが遅れてしまうケースも少なくありません。
そのため、人事制度をつくる際は、どのようなものが自社に合うのか、自社の実態に合わせて慎重につくっていくことが最重要といえます。
今回のお話できたのは人事制度のほんの一部ですが、
改めて人事制度の基本を確認していただき、
御社の人事制度を構築・改善するきっかけになっていただければ幸いでございます。
最後まで読んでいただきどうもありがとうございました。