弊社では人事制度構築のご支援や研修の実施をしておりますが、その中でいただくご相談の中でも多いのが、「社員の人材育成がなかなかうまくいかない」というお悩みです。
社員を育てるために、社外研修やOJT、WEB研修など様々な方法を実施する。
それでも、あまり効果が出ないというようなお悩みです。
たしかに、人材育成として、個々の社員を育成するような取り組みも重要です。
ただ、人材育成においてより重要なのは、「管理職が管理職として育っているか?」だと考えております。
そこで、この記事では、「人材育成をうまくいかせるための管理職」についてまとめております。
<目 次>
1.そもそも管理職とは何か?
1-1.組織の連結ピンとしての管理職
1-2.経営者から見た管理職
1-3.経営者から見た管理職
1-4.部門間における管理職
2.管理職が果たすべき2つの役割
2-1.「部門業績責任者」と「部門活性化推進者」としての役割
2-2.部門業績責任を果たすためのポイント
2-3.部門活性化推進者としての役割
3.まとめ
1.そもそも管理職とは何か?
管理職とは何かを考えたとき様々な答えがあるかとおもいますが、その中でも管理職が管理職たる重要な役割は、「組織の連結ピンとしての管理職」です。
下図のように、管理職は、自社の組織のある人とある人を繋ぐ役割を担っています。
管理職が繋がる方向は以下の3つがあります
- 経営者と管理職
- メンバーと管理職
- 管理職と管理職
経営者にとって管理職は、自分の分身となってくれることが一つの理想形だと思います。
組織が拡大していくと経営者ひとりだけでは組織を管理できなくなります。
そして経営者は、組織の存続・発展にかかわるような長期的かつ否定形的な意思決定(戦略的意思決定)に大きく時間を割く必要があります。
そのため、日常業務の管理や遂行あるいは経営者自身の能力を超えた専門的業務を管理職に任せる。つまり経営者の権限の一部を与え、自分の分身としての役割を管理職に求めることになります。
そして管理職は、経営者の分身となるために経営者の考えを理解し、その責任を果たすことが必要になります。
ただ、いかに優秀な方であっても一朝一夕にその役割を担うのは難しいかと思います。
管理職が経営者の分身となるまでにいくつかのレベルに段階があります。
・メッセンジャーボーイ的管理職
経営者の支持をそのまま部下に伝える
・広報マン的管理職
経営者の指示を、咀嚼し、部下が仕事をしやすいように説明・指示ができる
・経営者の分身としての管理職
経営者の指示がなくとも経営者になり代わって物事を考え、処理することができる
人材育成を成功させるための大前提として、そもそも自社の管理職がこの3つのレベルにおいて、どの段階に位置するのか把握することがスタートになります。
メンバーにとっての管理職として担う役割は、「自部門の成果・業績を最大化するため、自部門のメンバーの業務が円滑に遂行されるよう管理・先導すること」だと考えております。
そしてそのために必要なのが以下の2つです。
- 経営者の示す理念や戦略、自部門が担う役割を各メンバーに浸透させること
- 各メンバーの成果を底上げすること
ここは非常に重要なポイントですが、詳細に書くと量が膨大になってしまうので、重要なポイントのみこの記事ではお伝えします。
2.の「各メンバーの成果を底上げする」ために、管理職としてできることは、大きくわけると、
各メンバーの「能力を伸ばすこと」と「やる気を引き出す」の2つになります。
そして、「能力を伸ばす」ためには、面談やOJTなどの部下育成が具体的な方法になります。
「やる気を引き出す」ためには、面談や日々のコミュニケーションなどが具体的な方法になります。
次に他の管理職からみた管理職の役割をみていきます。
この部門間での管理職にとって求められるのは、「全社での成果・業績を最大化すること」です。
そのためには、部門を越えて管理職同士が連携・調整することが重要になってきます。
優秀な管理職であるほど、視野を広くもってその役割を果たしています。
自分自身の役割<自部門での役割<全社での役割
日々の多忙な業務があるなか大変なことではありますが、しっかりと管理職どうしで定期的な情報交換を行い、互いの部門における責任や利害を共有することがその成功と失敗の分かれ道になるかと思います。
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2.管理職が果たすべき2つの役割
2-1:「部門業績責任者」と「部門活性化推進者」としての役割
前章では、経営者、メンバー、管理職、それぞれから見た管理職としての役割についてご説明しました。
この章では、それらを統括したうえで究極的に管理職が担う役割とはなにかについてご説明します。
それが、以下の2つです。
①「部門業績責任者」としての役割
自部門の存在意義・使命を認識し、部門目標を達成する責任を担う
②「部門活性化推進者」としての役割
目標達成の責任を果たすため、自部門や自部門と関係のある他部門へ働きかける役割
ここでいう業績とは単に売上や利益などの業績ではありません。
バックヤードの部門も含めいずれの部門にも、その存在意義や使命・目的があります。
その、「部門の使命・目的の達成度合い=部門業績」と考えることができます。
そして、管理職は、その部門業績への責任者となります。
この部門業績への責任を果たすために、管理職はまずなによりも「自部門の存在意義・使命・目的を明確に把握している」ことが重要になります。
営業部門であれば、基本的には売上利益を達成することが主な使命・目的になりわかりやすいですが、バックヤード系の部門になるとここが不明確になりがちです。
管理職がここを把握できていないと、日々目の前の業務をただこなすだけの組織になってしまいます。
管理職は、経営理念や経営目標・戦略を理解し、そこから自部門に落とし込んだとき、何が期待される役割なのか、使命なのかを 明確にしておかなければ、部門業績をあげることはできないでしょう。
部門が活性化している状態とは、どのような状態でしょうか?
ここでは次の3つの状態にある場合、活性化していると考えています。
①変化している状態
②やる気に満ち溢れている状態
③よいコミュニケーションがとれている状態
【①の変化している状態】
逆に変化しない組織では、常の同じやり方を続き非効率的な業務を行っていたり、場合によっては外部環境の変化にも対応しきれていないような状態になっています。
基本的に人は変化を嫌う、躊躇する傾向にあるため、組織の変化を促すためには、積極的に管理職が推進していく必要があります。
管理職は変化を推進するために、「情報分析や問題発見、課題形成、計画策定」などのスキルを求められますが、それに先立って、変化の必要性を認識しておくことと日々の観察力がなによりも求められるます。
【②のやる気に満ち溢れている状態】
「やる気=動機付け」おいて、ハーズバーグの二要因論という考え方があります。
それは、人が働くうえで、不満に関わる要因と満足に関わる要因の二つがあるというものです。
不満に関わる要因は「衛生要因」と呼び、この衛生要因を多く与えたとしても、積極的な満足にはつながらないが、一方で足りないと不満につながるようなものです。
例えば、職場環境や給与、対人関係などが衛生要因に当たります。
満足に関わる要因を「動機付け要因」と呼び、この要因を当たえることで、積極的な満足につながるというものです。
例えば、職務の内容や目標の達成、公正な評価、自己実現の実感などがこれに当たります。
管理職は、この2つの要因をしっかりと意識して、部下に与えることで、動機づけを推進していくことが重要になります。
もちろん、管理職だけの判断でコントロールできない部分も多々ありますが、仕事の割り振りや適正な評価の実施、部下育成など自身が担える範囲でしっかりと動機づけを推進していきましょう。
【③のよいコミュニケーションがとれている状態】
管理職やメンバー同士がなんでも話し合える状態こそよいコミュニケーションがとれている状態だと考えております。
決して不平不満がいえるというわけではなく、あくまでも自部門や全社の業績達成を目指すために互いの考えをいえるという状態です。
管理職は、日々の業務の指示やその他のタイミングで円滑なコミュニケーションをとり、雰囲気を作っていくことが重要になります。
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3.まとめ
管理職が「部門業績責任者」と「部門活性化推進者」の役割を果たし、最小限の力で、最大限の部門業績を達成することが理想形だと考えております。
また、管理職は組織の中で自分がどのような影響をもたらしているのか認識することも非常に重要です。
管理職の、影響力の強さを「てこの原理」で例えることができます。
つまり、管理職が自身の仕事に労力を大きくさいているプレーヤー的な状態のときの部門全体の業績と、
管理職がマネージャーとしての役割をこなし部下にしっかりと仕事を与えた場合の部門全体の業績を比較した場合、圧倒的にマネージャーとしての役割をこなしたときのほうが業績が大きくなるということです。
たしかに管理職となると、業務量は多く、多忙であることは間違いないです。
しかし、その多忙を理由に自部門の業績が小さくなっては元も子もありません。
管理職は、いかに最小限の力で、自部門の業績を最大化できるかを考え実行していくことを意識することが大切になります。
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今回は【人が育つ組織のキーマンとなる管理職】について本稿を書きました。
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