企業が更なる発展を遂げるため、経営者の選択肢のひとつにM&Aが挙げられます。では、中小企業がM&Aを成功させるためにはどのような留意点が必要なのでしょうか。
前回の『譲渡企業のM&A成功へのポイント』に続き、20年近くM&A仲介サービスに携わってきた当社会長 河野を取材致しました。
▶ 譲受企業(買い手)のM&A理由とメリット
▶ M&Aの要は『秘密保持に始まり秘密保持に終わる』
▶ 成功のために抑えておくべきpoint
譲受企業(買い手)のM&A理由とメリット
Q 近年M&Aを考える企業数が急激に増えているということですが、その事由としては何が考えられますか?
原因として考えられる背景として、少子高齢化社会が進む中、人口減少及び就労人口の減少によってマーケットの縮小=売上の減少が進むと予測されていることにあります。
そうしたことから、中小企業の多くが今後の成長に閉塞を感じていることです。
それ故更なる企業の成長へ向けて以下2点を目的としてM&Aを推し進めています。
ひとつには成長戦略実現のためのM&Aを選択している企業が非常に増加しています。
企業をM&Aを行うことで隣接業種への進出、シェア拡大や他地区への展開、更には川上から川下業種へ進出することが可能となり、譲渡企業とのシナジー効果を得ようというものです。
2点目としては、例えば2代目の経営者が本業に行き詰まり感じており、その打開策としてM&Aにより第二創業期を成し遂げようというものです。
Q M&Aを行うことで譲受企業にとってどのようなメリットが生まれるのでしょうか。
M&Aの利点は『早い』『安い』『安全』だと考えています。企業が自社の経営資源だけで成長を考えるとすると多大な労力と時間を費やすることになります。
『M&Aは時間を買うこと』と言われますが、自社にはない経営資源をスピーディーに取得することが可能です。
そして、事業を一から立ち上げることを考えると、多少の営業権を付けて買収しても、最終的にトータルコストは低く抑えられます。
この他、一から新規事業を展開するとしても売り上げや利益の予測はあくまで予測にすぎません。
一方でM&Aにおいては、譲渡及び譲受企業共に売り上げ実績や利益数値は既にあり、買収後の計画等を正確に読むことができるのです。
M&Aの要は『秘密保持に始まり秘密保持に終わる』
Q 譲受企業(買い手)がM&Aを進めるにあたり、留意することは何がありますか?
M&Aにおいて最大の留意点は秘密保持を徹底することです。案件を提案されても確定戦略とは言えません。
そのためには、M&Aにおいては情報が一切漏れてはいけません。
万が一にも情報が外部に漏洩することのないよう、情報の管理の徹底をすることが重要です。
成功のために抑えておくべきpoint
Q 失敗しないM&Aを行うために抑えておくべきポイントを教えてください。
【シナジー効果があるか】
M&A後に予測されるシナジー効果や事業フレームを具体的に検討することが必要です。
【条件は妥当か】
買収金額が妥当かどうか、その他仲介手数料や運転資金などの総コストについても検討することが重要です。
【運営ができるかどうか】
買収後の具体的な運営方法について、細心の注意が必要です。例えば、社員や得意先、技術等は引継ぎが可能かどうか。
また、M&A後の会社を誰に運営させるのかという点や、M&A成立時の発表方法についてなどがあります。
【その他】
先程もあったように相手(案件)があってのM&Aなので、譲渡企業の経営者や従業員の方に係ることにおいても最大限の配慮が必要です。
更には創業社長のプライドや尊厳を守るということや、譲渡企業の従業員のやる気の維持や向上を保てるよう留意しましょう。
最後に
少子高齢化が進む社会においてマーケットの縮小が否めない中、企業が今後更なる発展を遂げるための解決策としてM&Aという手段を選択することは、経営者だけでなく従業員たちにとっても明るい将来を描く近道になり得ると感じます。
今回はM&Aにおいて譲受する企業側(買い手)からの視点でお送りしました。
次回は実際にM&Aを実施した企業の事例について取材した内容をお送りする予定です。
M&Aについてご関心のある経営者の方の検討材料としていただければ幸いです。
(インタビュワー:佐藤)
共栄経営センターでは、いち早く事業承継問題に取り組み、数多くのM&A仲介実施を積んでまいりました。
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