中小企業の人事評価制度の作り方

人事制度の構築のご支援をしてきて疑問に思うことがあります。
「人事評価制度を構築するのに、なぜこんなにも多大な労力がかかるのか?」ということです。

人事コンサルティングサービスを提供している側がいうのもおかしな話ですが、多大な労力がかかるからこそ人事コンサルティングサービスに存在意義があるし、逆にいえば、すべての企業に当てはまるような人事評価制度の最適解があるとすれば、人事コンサルティングサービス自体が不要となるということでしょう。
人事評価制度に最適解がない、このことが人事評価制度の構築に労力がかかる最大の原因です。
しかし、「労力がかかります。」で停滞していると進歩がありません。
労力がかかることを前提にしながら、その労力を最小限にしていくことも必要です。

この記事では、人事コンサルティングの経験から抽出したノウハウ「中小企業に効果的かつ簡潔な人事評価制度の作り方」というテーマで解説していきます。

<目 次>
1.人事評価の基礎知識
1-1.人事評価を難しくしている原因
1-2.組織を強くする4つの評価項目
1-3.仕事の本質を見据える
2.中小企業に合った人事評価制度
3.まとめ


 

1.人事評価の基礎知識

1-1:人事評価を難しくしている原因

人事評価を難しくしている原因は、本屋に象徴されています。
本屋にはたいてい人事・労務関係の棚があります。
その棚には、さまざまな考え方の本がならんでいますが、逆に考えれば、人事評価にはそれほど様々な考え方があるということです。
コンピテンシー評価、実力評価、能力評価、成果評価等の評価方法を解説した本がある一方、業績が上がる人事評価や社員のやる気を引き出す人事評価等の人事評価の効果を打ち出した本もあります。
いずれの考え方も素晴らしい考え方だとは思いますが、考え方がありすぎて、迷ってしまうのも事実です。
「一体、我が社に適した人事評価制度はどのようなものなのか?」
この最適解を見つけるためには、人事評価項目の組み合わせを考えるのではなく、人事評価制度の機能に立ち戻る必要性があります。

 

1-2 組織を強くする4つの評価項目

人事評価の機能は何か
この機能を見失ったとき、人事評価制度は迷走します。
答えは様々あると思いますが、あえていえば「組織を強くする機能」と定義します。
そのように定義すれば、組織を強くするためのロジックが見えてきます。そのロジックに沿って人事評価制度を作っていくことができます。
それでは、組織を強くするロジックとは何か。
次のように定義します。

個人の力が伸びる

伸びた能力を組織内で活かそうとする

能力を正しいプロセスで発揮する

結果を出す

このロジックを回していくことで、組織は強くなると考えます。
人事評価で重要なのは、このロジック(人事評価の機能)です。
情意評価、能力評価、業務評価等の評価項目の定義ではなく、まずはこの人事評価の機能を押さえたうえで、評価制度を作っていくことがポイントです。
この人事評価の機能を押さえたうえで、人事評価の項目に落とし込みをすると、次のようになります。

個人の力が伸びる = 自己啓発を評価する = 目標管理

伸び能力を組織内で活かそうとする = 態度・心構えを評価する = 情意評価

能力を正しいプロセスで発揮する = 業務プロセスを評価する = 業務評価

結果を出す = 結果を評価する = 業績評価

一番右にある目標管理や情意評価等の評価項目の名称に意味はありません。企業によって色々な表現をすればいいと思います。重要なのは、評価ロジックの意味です。組織を強くするためのロジックを定義したうえで、そのロジックを評価すること、このロジックをつかむことが、どのような評価方法を採用するかを考えるよりも重要です。

 

1-3 仕事の本質を見据える

人事評価の機能を理解したところで、最適な人事評価を構築する上で、もう一つ重要な概念があります。
仕事の本質を見据えることです。
仕事には必ず目的があります。社員には、その仕事の目的にコミットすることが求められます。さらに、仕事の目的にコミットしているかしていないかで、その社員の成果が変わってきます。
仕事の本質 ≒ コミットする対象は何か
営業、製造、事務等仕事には様々な種類がありますが、コミットする対象から整理すると次のようになります。

売上・利益にコミットする仕事(職種) → 営業職、企画職、管理職等
品質にコミットする仕事 → 技能職(製造等)、サービス職等
コストにコミットする仕事 → 事務職

規模や業種が違ったとしても、この3つのコミットはどの会社でも社員に求める必要性があります。コミットしている社員としていない社員は一目瞭然でわかります。仕事に対する姿勢、何より仕事の成果が違うからです。

この、コミットする対象の違いがあるということを前提として、人事評価制度を構築することがポイントです。

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2.中小企業に合った人事評価制度

「組織を強くする4つの評価項目」と「仕事の本質である3つのコミット」を前提にすると、中小企業に合った人事評価制度の「あるべき像」が見えてきます。
「あるべき像」を図示すると次のようになります。

2つの職群に分けています。
売上・利益コミット職と品質・コストコミット職です。
この2つの職群を前提として、4つの評価項目を当てはめてみます。
売上・利益コミット職 → 目標管理(業績評価・業務評価)
品質・コストコミット職 → 業務評価、情意評価、(目標管理)

売上・利益コミット職の目標管理について、前回記事にしているのでこちらをご覧ください。
MBO(目標管理)成功の秘訣

品質・コストコミット職の業務評価、情意評価については、従来型の評価方法になります。業務評価は、業務プロセスを明確にして決められた品質を着実にこなしているかを評価します。情意評価は、積極性や責任感等の仕事に対する姿勢を評価していきます。

このように、2つの職群と4つの評価項目で、「効果があり、かつ簡潔」な人事評価制度を実現していきます。

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3.まとめ

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本記事が皆様の人事制度構築に参考になれば幸いです。

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